リヤショック完全分解⇒確認&検証⇒適正組み付け

車体から取り外したショックを当社が信頼し、お願いしているサスペンションオーバーホール専門の協力企業様へお願いして完全分解整備を行っていただきました。

ちなみに当社内でも前後ともサスペンションは整備を行いますが
当社内で整備、管理、調整するのは下記のアドレスにある作業内容までです。

http://www.spec-hiroshima.com/2000/204/313/441/index.htm

ばねレートやセット長、伸び圧ダンパーの管理までは分解して行いますがリヤショックユニット本体の完全分解及び適正なる組付けは社外のプロに委ねます。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 3、バルブスタック挿入.jpg

スプリングやプリロードリモートアジャスターなどを取り外し、ショック本体からメインピストンスタックという部分を抜き取ります

オーリンズリヤショックのシェルケースを分解しメインピストンスタックと呼ばれるダンパーロッド先端についているオリフィスという穴の開いたピストンと減衰力の発生を制御している沢山の薄いワッシャー(シム)を完全分解しています。ダンパーロッドは下から2段目の太いロッドで今後の中長期的なオイル漏れのトラブルを防ぐために、こちらは既に再メッキ済のものへ交換されています。

一番下の列がコンプレッションアジャスタースタックと呼ばれる部分でピストがついている小さなロッド部分にメインピストンスタック同様、減衰力の発生を制御している沢山の薄いワッシャー(シム)を完全分解しています。

シムを完全分解してもダンパー特性が向上したり、変化したりすることはほぼ
期待できませんがこれを行う理由はただひとつ、きちんと標準の状態にセットされているか否かの検査、確認のために行われます。実はこのような作業はキャブセッティング、サスセッティング、エンジンのオーバーホールなど車両を構築する上でこの『検査、確認』という作業は全ての基本となるものです。この基本となる動作を行わないままに組み上げられたものは狙った性能が得られなかった場合の原因追求ができない仕事ということになります。つまり 手を入れて良くなった場合でも、悪くなった場合でも何が作用して良くなったのか、悪くなったのかがあいまいなままの仕事であると言う事。工業製品の品質向上は検証⇒解析⇒対策⇒発展というプロセスがあって初めて成り立ちます。検査、確認をしないままの作業とはすなわち そもそものスタートである検証ができないということになり、そのような仕事は残念ながらプロであるとは言えない。
その習慣のままどんなに長く経験を積んでも何故 良くなったか、悪くなったのかがわからない、あいまいな経験の元、作業に慣れていくだけのメカニックにしかなれません、せっかくのメカニックとしての経験がそれでは非常にもったいない。誰しも同じく人生の貴重な時間を費やして仕事に当たっているはずです、そうであるならば私自身も技術者の一人として、当社内で働くメカニックたちも常々基本を忘れず、精進し真のプロを目指したいものです。

余談が長くなりました。
当社がこの協力企業様に委ねる最も大きな理由は常に基本に忠実であること、
行っても行わなくても変わらない内容のことでも手を抜かず交換作業及び確認作業を行ってくださることにあります。

仕事場に出向き、実際にデータを見せていただきましたがショックに標準で装着されているシムの数、直径、順番などのデータ全てを管理、記録、保管されておられます。GPZ900R用のオーリンズリヤショックだけでもA1モデル~A11までの間に KA543、KA449、KA634という3種類、A12モデル~A16モデルの間にKA914、KA203、という2種類の合計5種類が存在します(A12~用のKA914は既に生産中止となりましたが) 当然それらのデータも他の車種のデータも実際にご自身の手書きで記録されたノートには年月の重みを感じました。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 2020-07-03-008.jpg

引き続きです
左半分がこの度オーナー様の車両に装着されていたオーリンズショックの内部部品で右半分がオーリンズショックの標準状態です。
此度のオーバーホールにて部品が加工されていてシールなどの部品も標準ではない状態となっていたことが発見されたのでストックしている標準部品に交換し、次回からの分解点検時にも困ることのないように適正なる状態にしておきました

ダンパーロッドが摺動する箇所のガイドブッシュも交換いたします。
せっかく再メッキ処理を施したダンパーロッドが中、長期的にわたりきちんと
機能すべく こちらも必ず交換している部品です

ダンパーロッド本体にすべての部品を組付けたバルブスタックと呼ばれる部品をショック本体のシリンダーへ挿入し、固定されます。
そしてショックのオイルやガスの封入、周辺の部品を組みつけて完成となります。

無事 組付けが完了したショックです。
ショックの上側にあるのが この度交換したスプリングです

下側の画像がこの度交換したショック本体内部の部品です

あとは車両に再び装着して狙った性能がきちんと確保されているかの
テスト走行に備えます